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労働局による派遣先調査が増加!? 派遣先への調査ポイントとは

最近、派遣先企業への厚生労働省・労働局の調査が多くなっているようです。

2020年4月及び2021年1月・4月に労働者派遣法が改正されましたが、ちょうど2020年1月頃から始まった新型コロナのまん延時期と重なり、感染リスクの観点からも、ここしばらく、派遣元・派遣先への調査についてはどうも積極的ではなかったと推測されます。しかしながら、ここにきてようやく新型コロナが落ち着き始めたこともあり、地域によって多少の濃淡はあるものの、労働局もいよいよ本格的に調査に動き始めたことがうかがわれます。


直接訪問ではなく、集団指導(呼出検査)方式も目立ってきました

これまでは労働局の担当官が派遣元・派遣先に直接赴く、「立ち入り調査」が一般的でしたが、最近では「労働局に対象事業所を招集、派遣法啓発セミナーも同時開催」という新たな方式も実施されています。もしかすると、これもコロナ感染リスクを踏まえてなのかも知れません。この方式だと、指定してした日程に複数の派遣先や派遣元企業が集まって効率よい点検と改正派遣法の周知徹底も可能になるため、今後はこの方式が一定程度進むのかも知れません。

直近の改正派遣法の内容


改正時期
主な改正内容
2020年1月
国内で初めて新型コロナが確認 
2020年4月
いわゆる同一労働同一賃金
2021年1月

・派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け(派遣会社の義務)

・派遣契約書の電磁的記録を認める(派遣会社と派遣先企業への規制緩和)

・派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について(派遣先企業の義務)

・日雇派遣について(派遣会社の義務)

2021年4月

・雇用安定措置に係る派遣労働者の希望の聴取等(派遣会社の義務)

・マージン率等のインターネットによる開示の原則化(派遣会社の義務)


そもそも何故、派遣スタッフが当社で勤務しているのを知っているの?

実は、派遣元は3~5年に1回程度の頻度で、定期指導監督を受けています。その際に、派遣元は派遣を行っている派遣先の事業所名と従事する業務内容、人数等を記載した派遣スタッフ名簿の提出を求められます。

ご承知のとおり派遣契約には細かな取り決めが多数あり、それぞれの項目に不備がないことが大前提となっています。よって派遣元はもちろん、派遣社員を受け入れる派遣先企業も法令遵守してもらわなければならず、調査を行うにあたっては派遣元・派遣先の両方を見なければならない次第です。

■主に派遣先への調査の際には、どんな項目内容のことが点検されるの?

派遣先に対してオーソドックスに調査・確認するのは以下の項目です。

  1. 労働者派遣個別契約書(基本契約書、派遣先カレンダー等含む)
  2. 派遣先管理台帳
  3. 就業実績表(タイムシート)
  4. 抵触日通知書
  5. 意見聴取通知書(3年を超えて派遣受入期間制限のある労働者派遣を受けようとする場合)
  6. 派遣社員の就業環境

■改正派遣法を踏まえての調査ポイントは?

ずばり、“同一労働同一賃金/派遣労働者の待遇改善”に基づいた実施状況です。

同一労働同一賃金による法改正に伴い、派遣先は、労働者派遣契約を締結するにあたり、あらかじめ、派遣元に対し、以下の事項に関する情報を提供しなければなりません。

派遣元は、派遣先から当該情報提供がないときは、労働者派遣契約を結ぶことは出来ません。その際、受け入れている派遣社員の派遣元が「派遣先均等・均衡方式」なのか「労使協定方式」かにより求められるものが異なります。以下ご参照ください。


▶派遣先均等・均衡方式の場合

 比較対象労働者に関する次の事項

  1. 職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
  2. 選定理由
  3. 待遇の内容(昇給、賞与その他の主な待遇がない場合には、その旨を含む。)
  4. 待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
  5.  待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項

▶労使協定方式の場合

  1. 業務に必要な能力を付与するための教育訓練
  2. 福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の内容

■労働局から是正指導を受けないために

度重なる法改正により派遣契約業務は複雑化しおり、派遣受入れ担当者の方が、一朝一夕にその法内容を理解し適切に運用するのが難しくなってきているのも事実です。対策ポイントとしては以下のようなことが挙げられます。

▶自主点検の励行

厚生労働省が派遣先用に「派遣労働者の同一労働同一賃金に係る自主点検表」チェックリストを公開しています。これをもとに自社の状態を定期的な確認することを先ずはお勧めします。
※派遣先(自主点検表)[PDF形式:536KB]

▶派遣営業担当者との密接なコミュニケーション

日頃からの信頼できる派遣会社の営業担当者から法改正のコアな情報を仕入れておくことはもとより、労働局からの調査点検の連絡があった場合、各派遣会社の営業担当者との速やかに連携できる関係を築いておくことは大切です。

▶派遣管理システムの活用

派遣会社により法の認識が違っていたり、改正派遣法に対応した書式が整っていなかったりする場合もあり・・・・大手ベンダーが提供している派遣管理業務のシステムを導入するのも有効な手立てです。法改正によって生じる書類上の不備にアラートが働くシステムであれば、人事担当者が新しい知識を習得する時間も、通常業務にも負担をかける必要もなくなります。派遣管理システムは当社からご提案が可能です。


▶派遣管理デスクの導入

複数の派遣会社、また多数の派遣社員を受け入れている場合に、人事担当者に変わって派遣社員の管理や人材派遣会社とのやりとりを代行するアウトソーシングサービスです。

派遣管理デスクにはいろいろなサービスがありますが、派遣法に精通した担当者が契約書管理はもとより、派遣先式命令者等に定期的に派遣セミナーを開催などにより派遣先の遵法体制を支えてくれています。こちらのサービスも当社からご提供可能です。

■最後に

今回は、派遣業務における調査についてご案内しましたが、業務委託でサポートを受けている場合はさらに注意が必要です。IT業界における多重下請構造により、請負・準委任・委託契約等と称しつつ、実態は多重派遣であるケースも少なくありません。いわゆる偽装請負です。

調査・指導を受けることで想定外の業務に追われ、本来やるべきことに支障を来たさないよう、しっかりと対応していきましょう。

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