外国人エンジニアを即戦力として採用するには? メリットや採用方法を紹介
インターネットの登場以降、成長を続けているIT市場。IoT(Interenet of Things: モノのインターネット)やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)といったさまざまなデジタル技術の革新も著しく、近年ではこうした技術を扱うエンジニアの不足が浮き彫りになっています。
この状況を打破する施策の一つとして関心が寄せられているのが、外国人エンジニアの採用です。国籍の違いや各種手続きの煩雑さにより採用が難しいと思われがちですが、効率よく採用できる方法もあります。
本記事では、外国人エンジニアを即戦力として採用するメリット、採用方法などを留意事項とともに解説します。
目次[非表示]
- 1.エンジニア業界の現状
- 2.外国人エンジニアから見た日本企業に対する魅力
- 3.外国人エンジニア採用のメリット
- 3.1.社内活性化につながる
- 3.2.海外進出時の助けになる
- 3.3.優秀な人材を確保できる
- 4.外国人エンジニア採用時における留意事項
- 4.1.在留資格・就労ビザを確認する
- 4.2.各機関へ申請・届出を行う
- 4.3.言語や文化の違いを理解する
- 5.効率的な外国人エンジニア採用方法について
- 6.まとめ
エンジニア業界の現状
さまざまな機械や設備をはじめ、インターネットやコンピュータシステムなどの開発から実装、保守までを担うエンジニア業界。技術革新にともなって社会全体が変化していく過程においてエンジニアは欠かせない存在です。
しかし、ひと口にエンジニアといっても機械系エンジニアやシステム開発系エンジニア、ネットワーク系エンジニア、IT系エンジニアなど、その職種は多岐にわたります。
特に、国内の各産業でDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められるなか、企業がDXに向けて製品・サービスやビジネスモデルを変革するためには、エンジニアが不可欠です。
一方で、機械系エンジニアの不足が深刻化するとも予想されています。2018年経済産業省が、企業・社会人を対象に行った理工系人材の需給状況についての調査によると、「5年後技術者が不足すると予想される分野」は以下のような結果となっています。
1位:機械工学(12.4%)
2位:電力(7.5%)
3位:通信・ネットワーク(5.8%)
4位:ハード・ソフトプログラム系(5.7 %)
5位:土木工学(5.5%)
出典:経済産業省『理工系人材需給状況に関する調査結果概要』
かねてより人手不足が問題視されているIT分野や建設分野を抑えて1位となったのは機械工学です。この結果から、エンジニア業界に類するの多くの企業が機械系エンジニアの不足を感じていることが分かります。
IT分野も需要に対して供給が追い付いていない状態です。順調に労働生産性の上昇を実現できれば、2030年時点での需給バランスは均衡するとされていますが、現在すでに人手不足に陥っている企業も見られます。
このようななか、関心が高まっているのが外国人エンジニアの採用です。外国人雇用状況の届出によると、エンジニアが該当する『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を持つ外国人は、2020年10月末で28万2,441人。うち、『情報通信業』に従事している外国人労働者数は、7万1,284人にも及びます。
近年では、コロナ禍により伸び率は鈍化しているものの、外国人エンジニアは年々増加していることが分かります。今後もエンジニアのニーズは加速し続け、争奪戦が激しくなると予想されます。
出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和2年10月末現在)』
外国人エンジニアから見た日本企業に対する魅力
外国人就労者にとっての日本企業の魅力はどこにあるのでしょうか。
以下は、外国人労働者および留学生を対象に日本で就職した理由を聞いたアンケート結果です。
画像出典:経済産業省『外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査』
上位に挙がったのは、以下のような日本に興味を示している層です。
- 将来日本企業の海外拠点で働きたいから
- 日本企業の技術力が高いから
- 日本語を使って仕事がしたいから
日本では重要視されることの多い長期雇用に関しては9.4%とほかの回答と比べて低い結果です。
一方、「日本企業の技術力が高いから」という回答は、社員が留学生を大きく上回る41.4%。エンジニアとして労働している外国人は、すでに一定のスキルを得ており、より高みを目指したいという向上心が伺えます。定着よりもスキルアップを重んじているとも考えられるでしょう。
出典:経済産業省『外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査』
外国人エンジニア採用のメリット
ここからは、外国人エンジニアを採用するメリットを3つ紹介します。
社内活性化につながる
日本で働く外国人エンジニアの多くは、高いモチベーションを持っている傾向にあります。日本人の勤勉さと相まって、周囲によい影響をもたらすきっかけとなるでしょう。
また、日本人とは異なる視点や発想を持っている場合もあるため、新たな視点を取り入れ、社内活性化につなげることも可能です。
海外進出時の助けになる
海外拠点があったり、将来的な海外進出を予定していたりする場合の課題として挙げられるのは、文化や仕事に対する価値観のギャップです。
外国人エンジニアを採用すると、そのギャップを理解し、適切な対応を検討しやすくなります。
優秀な人材を確保できる
近年、日本とアジア諸国の技術力の差はなくなりつつありますが、アジア諸国のなかには賃金水準が低い国が多いという実情もあります。
優秀な人材ほど、スキルに見合った高い賃金水準を求めるのは当然の流れですが、そのとき選択肢の一つとして挙げられるのが海外への就労です。
日本人雇用に限定せず、外国人も含めて検討することで、そうしたハイレベルなエンジニアを獲得できるチャンスが生まれます。
外国人エンジニア採用時における留意事項
外国人エンジニアは日本人を採用する場合とは異なり、労務管理上に必要な手続きがあります。以下では、採用する際の留意事項を紹介します。
在留資格・就労ビザを確認する
外国人エンジニアを採用する場合、在留資格や就労ビザを確認する必要があります。
すでに日本にいる外国人をエンジニアとして採用する場合に必要な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。業務内容と在留資格の種類が一致しているかどうかを確認しましょう。
資格外の活動となると、本人・企業ともに罰則があります。また、就労ビザに関しても、海外から呼び寄せる場合と、日本にいる外国人労働者や留学生を雇用する場合とでは、ビザの取得フローが異なります。スムーズに入国し、業務を始めてもらうためにも注意が必要です。
出典:厚生労働省『外国人雇用はルールを守って適正に』/情報処理推進機構(IPA)『外国人 IT 技術者の日本での雇用に係る諸手続き』
▼在留資格について詳しくは以下の資料をご参照ください。
各機関へ申請・届出を行う
外国人エンジニアを採用する際は、各機関への申請や届出が必須です。届出機関と申請・届出の内容については、以下のとおりです。
- 地方入国管理局:在留資格認定証明書(※呼び寄せる場合)
- ハローワーク:雇用保険被保険者資格取得届・雇用保険被保険者資格喪失届、外国人雇用状況届出書<様式第3号>
また、厚生年金や健康保険への加入が義務とされている強制適用事業所の場合、加入義務は国籍に関係なく発生します。どのような形態の企業でも加入しなければならないため、日本人と同じように手続きをする必要があります。
出典:厚生労働省『外国人雇用はルールを守って適正に』
言語や文化の違いを理解する
仕事を行ううえで必要なのはコミュニケーションです。母国語と異なる言語を使ってコミュニケーションを取るのは難しいことです。ましてや、異なる文化や価値観を持つ人同士が理解し合うのはさらに厳しいといえます。
コミュニケーションの基本となる言語能力については、日本語能力試験などを活用して図りましょう。また、企業側も外国人エンジニアが理解できる言語でサポートできる体制を構築することも大切です。言語だけでなく、文化の違いを理解して良好な関係を築けるような環境を構築しましょう。
効率的な外国人エンジニア採用方法について
外国人エンジニアを採用する場合も、基本的には日本で行う方法と同じです。たとえば以下のような採用方法が挙げられます。
- 公的機関や求人サイトの利用
- 自社WebサイトやSNSでの告知
- 現地で就職イベントの開催など
ただし、ターゲットが外国人エンジニアになるため、英語や採用活動を行う国の言語で募集要項を記載したり、外国人の求職者が魅力に感じる募集要項を設定したりする必要があります。
また、実際に雇用するとなると、各種手続きはもちろん、渡航費用や日本での住居など、検討事項は多岐にわたります。効率よく、優秀な外国人エンジニアを採用するなら、専門の外国人材採用サービスを利用するのがおすすめです。
パーソルエクセルHRパートナーズは、エリアを問わずに若年層の優秀なエンジニアの派遣が可能です。採用から入国、就業までの各種手続きをすべて対応しているため、外国人材採用のノウハウがない場合にもお任せいただけます。
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まとめ
外国人エンジニアにとって、日本は人材育成などが充実しており暮らしやすい就労環境です。日本企業にとっても、人手不足の解消や優秀人材の確保、海外進出の足がかりなど、さまざまなメリットがあります。
ただし、外国人エンジニアの採用には、煩雑な各種手続きが不可欠です。外国人採用のノウハウも必要のため、人材確保が喫緊の課題だとしても採用活動に取り組めないとお悩みのケースもあるのではないでしょうか。
外国人エンジニアの採用を検討するなら、派遣サービスの利用もおすすめです。ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。