ベトナム人エンジニア採用のメリットや注意事項について
経済産業省の『平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書』によれば、日本のIT需要は今後さらに伸びていく一方、IT人材の供給数は伸び悩み、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予想されています。
こうした状況の打開策として外国人のIT人材採用に乗り出す企業が増加傾向。厚生労働省の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)』では、2020年10月末時点での外国人労働者数は約172万人、そのうち最も多いのがIT教育や日本語学習が盛んに行われているベトナムからの労働者という結果が公表されています。
IT人材の不足という状況下で、一定の教育を受けたベトナム人エンジニアをターゲットとした採用活動は有効な戦略の一つといえます。
この記事では、ベトナム人エンジニアの採用を検討する企業の人事担当者さまに向け、ベトナム人エンジニアを採用する方法やメリット、注意事項などを具体的に解説します。
出典:経済産業省『平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書』/厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)』
目次[非表示]
- 1.ベトナム人エンジニア採用のメリット
- 1.1.①即戦力人材を確保できる
- 1.2.②若手人材を確保できる
- 2.優秀なベトナム人エンジニアを採用する方法
- 3.ベトナム人エンジニア採用時の注意点
- 3.1.内定はなるべく早く出す
- 3.2.雇用条件を日本人と同等にする
- 4.ベトナム人エンジニア採用時に行うこと
- 4.1.就労ビザの申請
- 4.1.1.①海外にいるベトナム人を採用し日本に呼び寄せる場合
- 4.1.2.②日本にいるベトナム人を採用する場合
- 4.2.社内の受け入れ体制の整備
- 5.まとめ
ベトナム人エンジニア採用のメリット
ここでは、ベトナム人エンジニアを採用することで企業にどのようなメリットがあるのか、2つのメリットについて解説します。
①即戦力人材を確保できる
ベトナムでは、国を挙げて高度人材の育成教育に力を入れています。情報技術系の大学と企業が連携し、在学中のインターンシップも盛んであるため、卒業時には一定のスキルが身に付いており、即戦力化が期待できます。
また、日本はベトナムへODA(Official Development Assistance:政府開発援助)を実施。ハノイ工科大学で日本語が話せるIT技術者の育成活動などを通じ、ITを専攻するベトナム人学生に人気の就職先として人気のある国の一つに含まれています。
出典:外務省:『(2)情報通信技術(ICT)』
②若手人材を確保できる
経済産業省の『平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書』によれば、日本のIT人材の平均年齢は約40歳。2015年の国勢調査では30~39歳の割合が最も高いとの結果が出ています。
一方、ベトナム有数のIT採用プラットフォーム企業が2020年に行った調査では、ベトナムのIT人材における約7割は20~34歳との結果です。
向上心のある優秀な若手を採用したいと望みながらも、なかなか採用に至らないと悩む国内企業にとっては、ベトナム人エンジニアの採用が将来有望な若手人材の確保としても期待ができます。
出典:経済産業省『平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書』
優秀なベトナム人エンジニアを採用する方法
ベトナム人エンジニアを採用する方法の代表例としては、以下5つの方法が挙げられます。
▼採用方法の例
- 人材紹介・人材派遣サービスを利用する
- 家族・知人を紹介してもらう
- 現地のWeb・紙媒体に求人広告を掲載する
- SNSを活用する
- 自社サイトで募集する
日本では、家族・知人からの紹介による採用は主流ではありませんが、ベトナムは家族主義が強く、人脈を利用することも珍しくありません。すでにベトナム人エンジニアを雇用している場合、そのスタッフの知人のなかから自社が求めるスキルを持った人材を紹介してもらうといった方法があります。
現地のWeb・紙媒体へ出稿したりSNSを活用したりなどの方法は、国内外の求職者を直接スカウトすることも可能です。
ベトナム人エンジニア採用時の注意点
ベトナム人エンジニアの採用方法を把握したうえで、採用時の注意点について見ていきましょう。
内定はなるべく早く出す
ベトナム人エンジニアの採用においては、スピーディに内定を出すことが重要です。ベトナムには日本のような就活という概念がないため、面接をしたその日に内定し、1週間以内に働き始めることもあります。
雇用条件を日本人と同等にする
ベトナム人エンジニアを採用する際は、国籍が異なっても日本の労働基準法にもとづいた賃金の支払いや労働日数の管理を行わなければなりません。
外国人だからといって予告なしに解雇したり、法定労働時間を越えて就業させたりする行為は法律上禁止されています。
出典:厚生労働省 東京外国人雇用サービスセンター『知っておくべき日本の労働関係法令等』
ベトナム人エンジニア採用時に行うこと
ベトナム人エンジニアを採用する際は、ビザの申請や社内の受け入れ体制を整えることが重要です。
就労ビザの申請
就労ビザは、外国人が日本で働くために必要です。就労ビザ申請の方法には、2パターンあります。
- 海外にいるベトナム人を採用し日本に呼び寄せる
- 日本にいるベトナム人を採用する
①海外にいるベトナム人を採用し日本に呼び寄せる場合
▼手順
- 在留資格認定証明書の交付を申請する
- 在留資格認定証明書を本人に送付する
- 採用したベトナム人本人がビザの申請を行う
- 採用したベトナム人本人が来日し、就労を開始する
在留資格認定証明書は、在留資格の基準に適合していることを証明するために必要な文書です。なお、在留資格認定証明書の効力は発行日から3ヶ月以内となっており、その間に日本に入国して上陸の申請を行わなければならない点には注意しましょう。
出典:総務省『在留資格認定証明書の有効期間の確保、交付の早期化をあっせん- 行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ、福岡出入国在留管理局に対し -』
②日本にいるベトナム人を採用する場合
▼手順
- 在留資格が新たな業務と照合するかの確認を行う
- 雇用契約書の作成と締結を行う
- 就労ビザの申請を行う
- 各種届出の手続きを行う
日本にいるベトナム人を採用する場合、依頼する仕事内容が在留資格の基準と適合するかの確認が必要です。在留資格の基準に適合しない場合には、採用したベトナム人の住居地を管轄する地方出入国在留管理署にて、在留資格変更許可申請を行わなくてはなりません。
社内の受け入れ体制の整備
ベトナム人エンジニアを採用する際は、社内での受け入れ体制を整えておく必要があります。
ベトナム人にとって、給与やインセンティブは自分自身を表すステイタスの一種です。日本で働くメリットとして賃金の高さや福利厚生の充実などを挙げるケースも珍しくありません。そのため、ベトナム人エンジニアの採用にあたっては、社内の福利厚生やスキルアップ研修、昇給の制度などを見直すことも大切です。
また、エンジニア職の場合、技術的な面が重要視されるため、日本語をあまり話せないまま日本へ来るベトナム人も少なくありません。業務内容を理解して活躍してもらうためには、日本語教育の場を用意することが大切です。
日本の企業で働くうえで、ベトナム人にとっては聞きなじみのない制度が数多く存在するため、日本の就労規則や習慣を教えることも重要です。
まとめ
国内でIT人材の採用に苦戦する企業にとって、ベトナム人の若くてスキルのあるエンジニアは魅力的な存在です。
ベトナム人エンジニアを採用する際は、内定のタイミングや労働基準法に則った雇用条件の適用などに注意しましょう。また、ビザの申請や社内の受け入れ体制の整備を万全に行っておくことも重要です。
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