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あなたのチームは質を担保できていますか? チームを定期点検するポイントとは

自分が率いるチームが今よりもパフォーマンスを落とさず、さらに高めていくためには、チームの状況を点検することが必要です。チームを点検するとは、自分のチームはチームづくりの要件をどの程度満たしているのか、メンバー間でどんなコミュニケーションをしているかなど、業務内容や仕事の成果だけでなく、ふだん目には見えないチーム内の関係性やメンバーの意識を再確認することです。年度の変わり目や大きなプロジェクトなどが終わったタイミングなどで点検し、もし何らかの問題点を見出したなら、改善の施策を考え、チームに関わっていくことが求められます。

今回は、チームを点検するためのポイントに注目してみたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.「氷山モデル」によってチームを観察する
  2. 2.GRPIモデルの4つの要素でチームを点検する
  3. 3.6つのポイントでチームの可能性を点検する
    1. 3.1.1) 目標の明確化と共有化
    2. 3.2.2) 情報の共有化
    3. 3.3.3) 反応のコミュニケーション
    4. 3.4.4) 協働すること
    5. 3.5.5) 役割の分化と統合
    6. 3.6.6) 集団意思決定過程の共有化
  4. 4.チームの成長を促すリーダーの関わり方

「氷山モデル」によってチームを観察する

「氷山モデル」によってチームを観察する

チームを点検するために、「氷山モデル」という考え方をご紹介します。氷山は北極や南極の近海に浮かぶ巨大な氷の塊です。私たちは氷山と聞くと、波の上に浮かぶ氷の山をイメージします。でもそれは氷山のごく一部で、大部分は水面下にあって波の上から見ることは困難です。職場でのコミュニケーションも、この氷山にたとえることができます。波の上に見える部分は、メンバーの発言や行動、仕事の内容やその成果に該当します。私たちは日頃、目に見えやすいものばかり注目しがちです。

一方、氷山の水面下に該当するものは、目にか見えないけれど、チームづくりにとって大切な要因です。たとえばチームの目標について、メンバーがどう理解しているか、メンバー同士はどのようにコミュニケーションをとっているのか、意見が対立したときにはどのように対処しているのかといったことです。

目に見える部分が「何を」おこなっているか、水面下の部分は「どのように」おこなっているかに相当します。チームを点検する際には、氷山モデルの水面下にも光を当ててみることが大切です。


GRPIモデルの4つの要素でチームを点検する

GRPIモデルの4つの要素でチームを点検する

以前にもご紹介しましたが、チームをつくるために、①目標(Goal)、②役割(Role)、③手順(Process)、④人間関係(Interaction)という4つの要素が必要であるという考え方があります。これは、それぞれの頭文字をとって、GRPI(グリッピー)モデルと呼ばれています。

まず、チームは何を達成するのかという目標のあることが必須で、メンバー全員に共有されていなければなりません。次に、目標達成のための役割分担が明確であること。誰がどんな役割を担い、どんな責任を負うのかが明確になっていることです。目標達成のための手順も、全員に共有されていなければなりません。人間関係は、チーム内のコミュニケーションを円滑にすることです。どんなコミュニケーションをとって、おたがいに信頼関係を作ることができているのか。意見の対立が生じたら、おたがいを尊重しながら合意を導くことができているのかといったことです。

GRPIモデルは、本来はチームづくりの考え方ですが、チームを点検するときにも役立ちます。最近のチームの様子が「ちょっとぎくしゃくしているな」と感じたら、4つの要素に沿ってチームの状況を点検してみます。たとえば、目標の共有はどうでしょう?目標が曖昧に認識されていると、役割や手順も曖昧に理解されがちです。ミーティングの場で、あらためてチームの目標を具体的に説明してみるといいかもしれません。メンバー間のコミュニケーションは大丈夫でしょうか?もしかしたら、何らかの齟齬が生じているのかもしれません。コミュニケーションが嚙み合わなくなると、不信感が高まりやすくなります。定期的な1on1ミーティングなどで、一人ひとりに人間関係の困りごとなどを聞き取ってみてもいいでしょう。問題は早期に見つけ出すと、対策を講じやすいものです。

6つのポイントでチームの可能性を点検する

6つのポイントでチームの可能性を点検する

次に、チームワークを高める6つのポイントをご紹介します。これは、南山短期大学で教鞭をとられた星野欣生さんが著書『職場の人間関係トレーニング』で書かれていることです。こんな視点を用いてチームを点検することも有効でしょう。

1) 目標の明確化と共有化

チームにはかならず目標があります。しかし、マネジャーだけが目標を把握していて、メンバーに共有されていないことが多いものです。それは同じ言葉を聞いても、人によって解釈の仕方が異なるからです。目標の解釈がまちまちだと、会議で議論が噛み合わなかったり、メンバーによって行動がバラバラになったりしがちです。メンバーの言動に違和感を覚えたら、「いま何をしようとしているのか」を問いかけてみるといいでしょう。目標の理解がずれていると感じたら、あらためて目標について確認し、共有を促すことができるでしょう。

2) 情報の共有化

チームメンバーが目標達成に向けて行動するには、必要な情報が共有されていることが求められます。情報は組織の上の階層に滞りがちです。マネジャーだけが大切な情報を知っていて、メンバーが共有していなければ、メンバーに意見を求めても適切な発言が期待できません。「なぜ黙っているんだ」と訝ることもあるかと思いますが、情報のレベルを合わさずにアイデアを求めるのは無理なことです。随時、必要な情報が全員に開示されるような体制を考えることも大切でしょう。

3) 反応のコミュニケーション

目標達成のためには、メンバーが相互にコミュニケーションすることが必須です。コミュニケーションは量よりも質が大事です。メンバーは言いたいことを明確に表現でき、他のメンバーは彼の発言を受け取り、趣旨を理解できているでしょうか?自分では明確に表現しているつもりでも、相手にその通りに伝わっていないことがよくあるものです。わからないときは「わからない」と言えるなど、率直で双方向のコミュニケーションがなされていることが必要です。

4) 協働すること

人はそれぞれ、考え方も価値観も異なります。おたがいに似ている部分だけを見せあっていると対立も生じませんが、生産性も上がりません。異質な部分を見せ合うことで対立が生じますが、十分に話しあうことで相互理解が深まります。また、人によって強みも弱みも異なるものです。私には容易にできることも、他の人は難しいことかもしれません。おたがいに不得手なところを補い合って、得意なところを発揮しあえたら、チームの力が強まっていくのではないでしょうか。未完成の人たちが補完しあって、一つの仕事に取り組むことが本来のチームでしょう。

5) 役割の分化と統合

メンバー各々に役割が決まっています。でも仕事を進めるなかで、当初は想定していなかった役割も必要になります。メンバーが自発的に自分の役割の巾を広げて、仕事の漏れを防ぐことも必要です。リーダーは自分の仕事をこなしながら全体を観察して、必要に応じて役割分担を見直し、全体をまとめていくことが必要です。

6) 集団意思決定過程の共有化

目標を達成していく過程で、さまざなまことを決めていかねばなりません。できれば関係する人たち全員が話しあえたらいいですが、少数またはリーダーが独断で決めることもあるでしょう。決まった後でもいいので、誰がどういう意図で決めたのかを説明することが大切です。何の説明もなく「決まったことだから」と指示すると、メンバーは働く意欲を無くしてしまうことでしょう。意思決定の過程に参加できることは、チームワークを高まる上で必須のことなのです。

チームの成長を促すリーダーの関わり方

​​​​​チームの成長を促すリーダーの関わり方

チームを率いるリーダーの主たる責務は、言うまでもなく仕事の成果を上げることです。それとともに、チームが期待されたパフォーマンスを維持できるように、チームの状態に常に気を配っておくことも大切です。

チームを点検するとは、これまで書いたように、仕事の進捗を確認することよりも氷山モデルの水面下、つまり目には見えにくい部分を観察することです。メンバーの認識や相互の関係性に目を配り、「ちょっとおかしいかな」と感じたら、チームにかかわっていくことです。目には見えにくいけれどチームのパフォーマンスに関わる部分に気づく力が、リーダーには求められます。

また、リーダーが独断で判断しないことも大切です。自分がチームの状態について感じたことを、メンバーの誰かに、あるいはチーム全体に語ってみてください。問題だと思うことを皆で共有し、対話するなかで改善策を考え、ともに試行錯誤していくことが大切でしょう。チームはリーダー一人の力ではなく、メンバーとの協力によって成長させていくものです。リーダーは、メンバーを信頼し、メンバーを巻き込み、協働を促すことを大切にしていただきたいと思います。チームを点検するとは、リーダーである自分のかかわり方を点検することでもあるのです。

合同会社チーム経営 嶋田 至
合同会社チーム経営 嶋田 至
組織開発ファシリテーター。日立造船グループでITやインターネットに関するプ ロジェクト・マネジメントをおこなった後、同僚と起業しインターネットを活用 した事業開発に携わる。2008年、合同会社チーム経営(LLCチーム経営)を設 立、代表に就任。 いま、企業、医療・介護、行政、労働組合などさまざまな組織において、組織開 発のコンサルティング、ヨコ型のリーダーシップ養成、ファシリテーター育成、 対話型組織開発の支援など、「人が生き、成果があがる組織づくり(組織開 発)」を促進している。
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