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製品の分析・評価で訴求ポイントを明確に。「おいしさ」にエビデンスを持たせて売上を伸ばした事例紹介

自社製品の機能や他社に対する優位性を「訴求ポイント」にするため、客観的な検証結果がほしい。当社のCXデザインセンターでは、設計開発が主ですが、時にはこのような分析・評価のご相談もいただきます。チョコレートドリンクマシンを製造・販売するミツバチプロダクツ様からのご依頼も、同社マシンで作るチョコレートドリンクの“おいしさ”にエビデンスを持たせたいというものでした。分析で得られた科学的根拠を提案に活かし、販売数を伸ばすことに成功した同社との取り組みを紹介します。 


ミツバチプロダクツ株式会社様 事例紹介

業種
チョコレートドリンクマシンの企画・開発・販売
課題
「おいしさ」訴求に関するエビデンス調査
提案
調査方法の選択、分析、検証・考察データの提供


独自開発チョコレートドリンクマシンの強みと、抱えていた課題

カカオポリフェノールの健康効果が注目されるなど、チョコレートは「甘いお菓子」としての認知以外の市場が広がっています。そのひとつが「飲み物」としてのチョコレート、ショコラショーやホットチョコレートとも呼ばれるチョコレートドリンク市場です。本場のフランスやイタリアでは、日常的な飲み物として親しまれています。

チョコレートドリンクイメージ


同社が製造・販売する「INFINI MIX(インフィニミックス)」は、独自開発のスチームブレンダー機構を備えたチョコレートドリンクマシンです。高温のスチームと高速回転するブレンダーを組み合わせ、約30秒という短い時間でチョコレートの溶解と撹拌が可能。作り置きせずに、固形のチョコレートから1杯ずつ、できたての香り高いチョコレートドリンクを提供できるのが特徴です。

現在の販売先は、カフェやチョコレート専門店、野球場、イベント会場など。味や香りの評価が高く、業務用としてシェアを広げています。

ミツバチプロダクツのチョコレートドリンクマシン「インフィニミックス」。本格的なチョコレートドリンクが1杯から提供できる。(同社ホームページより)



今回、同社から相談を受けたのは、提案力強化のための“おいしさ”の要因分析です。一度味わえば、インフィニミックスで作るチョコレートドリンクの品質の高さは伝わるものの、「なぜおいしいのか?」の理由を説明するエビデンスが可視化できていませんでした。そこで、当社からは人の舌で味をみる「官能評価」と、おいしさの成分を定量的に分析する「物性評価」を合わせて提案。一般的なチョコレートドリンクと何が違うのか、主観・客観の両面から分析できる手法で調査を進めました。


チョコレートドリンクマシン開発の意図と、調査手法の選定

チョコレート専門店やカフェのメニューのほか、コンビニでも通年で販売されるようになったチョコレートドリンク。市場は拡大傾向にありますが、日本における一般的なチョコレートドリンクは、まだまだ濃厚な甘さを特徴としたおやつ代わりのイメージが強く、日常的な飲み物としての定着は進んでいません。

コーヒーのように毎日の習慣にできる飲み口、かつチョコレート本来のおいしさを楽しめる。そのために、すっきりしたのどごしと後味のチョコレートドリンクを目指して製品化されたのがインフィニミックスです。これらの特徴が消費者に“おいしい”と受け入れられるのかを官能評価で、さらに、なぜおいしく感じるのかの科学的根拠を物性評価で調査していきます。

官能評価では、年齢・性別などで属性を分けたパネリストが、さまざまなチョコレートドリンクを実際に飲んで味わいを採点。味・香り・口当り・外観などの要素ごとに集計します。その結果、インフィニミックスで調理したチョコレートドリンクが、すっきりした口当たりで甘すぎず“おいしい”と、最も高い評価を得ました。訴求ポイントとして、製品コンセプトとも合致しています。

次は、得られた主観的評価に科学的根拠を持たせるための、物性評価です。ここでは「何を」分析するのかが重要です。

好ましいすっきり感は、どこから生まれるのか。調べる要素は無数にあります。油脂の状態、酸化度合い、熱による変化。また、香りも味わいに影響します。やみくもにすべてを調査すると膨大なコストがかかり、関係のないデータも増えていきます。製品の訴求ポイントに直結する要素を絞り込むには、消費者に好まれる味わいや食感に関する知見と、それらをもたらす物性が何に由来しているのかの、科学的・技術的な素養が必要になります。こちらは調理家電の開発に長く携わってきた当社のエンジニアが実際の分析を行う第三者機関ともディスカッションし、最適な分析対象を決めていきました。最終的に分析を実施したのは粒子の状態について、つまり粒子分布測定です。

粒度分布に注目し分析、結果を製品訴求に活かす

液体中の粒子の状態は、口当たりに大きく影響します。粒子が細かく均一であるほど、すっきり感が増します。逆に、粒子のバラつきがあると、大きな粒子が舌に残ることで、もったりとした後味が残ります。

粒子径分布測定のイメージ


インフィニミックスの特徴であるすっきりした飲み口をもたらすのは、「粒子の均一さ」にあるとみて分析を行ったところ、油脂やカカオなどの粒子が均一に混ざり合っていることを数値で確認できました。これはインフィニミックス独自のスチームブレンダー機構の働きによるもので、製品の訴求ポイントとして活用可能なデータです。

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その他の分析では、高出力スチームの素早い加熱により食材への負担を最小におさえ、カカオの香りを保持しやすいといった実験結果も得られましたが、今回は「毎日飲めるすっきり感」に照準を合わせるため、粒子の均一さに絞ってデータを活用することになりました。

自社製品の優位性に対して、エビデンスを得るための着眼点や手法は多岐にわたります。当社は、分析対象の選択から実施手法、どの結果を利用するかまで、マーケットを見極めながら最適な手順を構築し、ご提案しています。ミツバチプロダクツ様でも、提案時の資料にエビデンスが加わったことで説得力が増し、インフィニミックスの販売数増に貢献できました。


当社では、分析業務だけではなく、構造設計や電気設計、ユーザーの使いやすさを考えたUXデザインなど、広範囲にわたる開発支援を行っています。モノづくりでお困りの際は、お問い合わせください


▼ミツバチプロダクツ株式会社の公式サイト

同社では店舗向けの製品販売だけでなく、一般の方がチョコレートドリンクを気軽に楽しめるチョコレートドリンク専門店「Hanikam Chocola Tea」も福岡県内で運営されています。

  MITSUBACHI PRODUCTS 私たち「ミツバチプロダクツ」はインフィニミックスで未来に繋がる新しい食文化を創造していきます。 MITSUBACHI PRODUCTS


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