3D化を当社へ委託し工数負担を軽減。自社リソースを設計業務に集中可能に
製造業で急速に進む3D設計と図面データの活用。実物がない段階での動作シミュレーションや、グローバルなデータのやりとりなど、3Dモデルが必須となる場面は増えています。しかし、モノづくりに長い歴史を持つ日本では、3D設計への移行に旗を振りながらも、過去の膨大な2D図面資産の扱いに苦慮している企業も多くあります。電機メーカーA社も、そんな3D化の推進に課題を抱える1社でした。
3D化を進めているものの、モデリングに工数が割かれ、設計プロセスに遅れが生じていた同社。部品のモデリングやアセンブリを外部委託することで、工数を大きく削減でき、設計業務に集中できるようになりました。また、3D化を進めたことで人材採用にも好影響が出ています。同社との取り組みをご紹介します。
クライアント様データ
業種 |
電子・電気機器製造 |
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規模 |
5000人以上 |
課題 |
2D図面資産のデータ化、3D化 |
提案 |
3Dモデリングを委託、自社リソースを設計業務に集中 |
2D図面資産の3D化で工数負担を軽減
A社から3D化を委託された図面は、生産装置図面2000〜3000部品です。iCADを使ってこれらを3D化していきました。なかには組立図と単品部品図が一致せず干渉している図面もあり、一つひとつフィードバックを行いながら正確な3D図面を作成していきました。
今まではこのような不具合がある2D図面のままモノを作った結果、現場判断で追加工し組み立てることもあり、工数負担がかかっていました。同社に限らず、「現場力」のあるメーカーほど、設計の不具合を現場の追加工で解決する傾向にあります。設計者にこれ以上負担をかけられないといった事情もあるようですが、開発トータルで考えるとやはり無駄な工数が増えてしまいます。
同社では設計にフィードバックはなされるものの、修正が後回しになりがちとのことで、流用設計時には修正前の2D図面が繰り返し使われていました。ご依頼により正確な3Dモデリングが完了したことで、追加工などの工数を大きく削減でき、設計業務に注力できるようになったと、納品データの品質と共に高く評価していただきました。
また、当社では3Dデータ作成時に、部品名・材質・仕上げ・手配数などの属性情報も付加します。3D図面から部品リストの出力ができるため、購買・調達部門向けに別途データを用意する必要がなくなったと、こちらも大変喜んでいただけました。
図面の3D化と活用のメリット
紙やAutoCADで作成されていた2D図面も、一度3Dモデリングを行ってしまえば、実物を作らず、画面上でシミュレーションが可能になります。回転機構のチェックや、2Dでは発見できなかった干渉箇所の特定につながり、現場での追加工を大幅に削減できます。
また、3D表現により設計段階で各部門とデータチェックが可能になり、機能性、組立性、作業性を早期に判断できます。コンカレントで情報共有できるため、後戻りのない効率的な設計が実現できます。
このようなメリットから、3D設計に舵を切る企業様は多いものの、なかなか社内に定着しないとの声もよく聞かれます。A社の事例のように、部品点数が多く図面の3Dモデリングに工数を割けなかったり、3D設計ができるエンジニアが少なかったりと事情は様々ですが、いずれのケースでも鍵となるのは、まず3Dデータを増やすことにあります。
iCADマイグレーションサービスの特徴と3D設計のメリット
当社のiCADマイグレーションサービスでは、マイグレーションセンターでの受託のほか、業務経験を積んだエンジニアの派遣による、iCADの導入から定着までのお手伝いもさせていただいております。お客様のもとで3Dモデリングを行うことで、設計プロセスに負担をかけることなく2D図面資産を3D化。社内の3D図面を増やすことで、以後の設計も3Dで行われる循環を生み出します。
また、社内で3D設計が主流となればエンジニアの採用にも有利です。すでに大学などでも3DCADが使われており、2D設計は敬遠される状況に。2D設計が主流だったA社でも新卒採用に影響が出ていました。優秀な人材の採用にも3D化は必須です。
3D設計を推進し活用していくメリットは、ご紹介した事例以外にも数多くあります。2D図面資産の3Dデジタル化が大きな変革のきっかけになると考えております。
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