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【企業向け】エンジニア派遣とは?種類やSESとの違い、メリット・デメリットを解説

エンジニア派遣は、プロジェクトごとに必要スキルが変わるシステム開発との相性がよく、以前からIT業界を中心に幅広く利用されています。

特に慢性的な人材不足が続くIT業界では、自社開発か受託開発かにかかわらず、社員以外の派遣エンジニアとの協業が常態化しています。また、経済産業省は、2030年にはIT人材が約79万人不足すると試算。今後もこの状況が続くのはほぼ確実とみられ、所属の違うエンジニアチームによる業務遂行は不可欠となっています。

この記事では、そんなエンジニア派遣を検討する際に役立つ基礎知識として、エンジニアの種類や派遣相場、メリット・デメリットなどをまとめました。

エンジニア派遣とは 

人材派遣のなかで、特にエンジニア(技術者)を派遣する業態・仕組みが、エンジニア派遣です。大きくIT系と機電系にわかれ、技術者派遣とも呼ばれます。

派遣会社から人材が企業へ派遣される仕組み自体は他業種と同じですが、IT業界では期間制限のない「常用型派遣」が、他業種に比べ多い特徴があります。この記事では、IT系エンジニアの派遣を「エンジニア派遣」として扱います。

機電系の「技術者派遣」についてはこちら

常用型のエンジニア派遣

常用型派遣では、派遣されるITエンジニアは派遣会社に常用雇用されています。スタッフとして無期限の雇用契約を結んでいるため、派遣されていない期間にもスキルアップ研修などが行われ、給料が発生しています。

常用型派遣には、派遣先の同一部署への派遣を3年に制限する、いわゆる“3年ルール”がありません。登録型派遣とは違い、3年を超えて同じ会社、同じ部署で働き続けることが可能です。そのため、比較的長期のプロジェクトや、終了後も別案件での勤務継続を前提とした派遣が多く見られます。

通称として、「正社員派遣」や「無期派遣」と呼ばれることもあります。

登録型のエンジニア派遣

登録型派遣では、エンジニアと派遣会社の雇用契約は、派遣先企業とのマッチング(派遣契約)ができた期間のみとなります。派遣契約がない期間は雇用関係が存在せず、別の企業に派遣される際には、改めて雇用契約を結び直します。

一般的には、こちらの登録型が派遣の形態として知られていますが、IT業界の場合は常用型が多く、識別のため「有期派遣」と呼ばれることもあります。

3ヶ月や半年ごとに契約更新を行うのが一般的で、派遣会社と派遣先企業間の「派遣契約」、スタッフと派遣会社間の「雇用契約」は、通常同じ期間、同じタイミングでなされます。

エンジニア派遣における登録型の利用目的はさまざまですが、短期間のスポット的な人材補充や、開発の詳細設計以降の工程などに利用されることが多い傾向にあります。

派遣期間については、30日以内の派遣(日雇派遣)は禁止、また期間制限により、派遣先の同一事業所では最長3年までの決まりがあります。※どちらも例外要件あり


エンジニア派遣とSESの違いについて

IT業界において、エンジニア派遣と混同されがちな契約形態に「SES(システム エンジニアリング サービス)」があります。

SESは、派遣と同じくITエンジニアが客先に常駐して業務を行うのが一般的ですが、両者の契約内容には違いがあります。派遣は「派遣契約」、SESは「準委任契約」と呼ばれます。

派遣契約では、派遣エンジニアと派遣先企業に直接の雇用関係はありませんが、エンジニアに対しての指揮命令は派遣先企業が行います。

SESにおける準委任契約は、「労働力」に対しての報酬である点は派遣契約と同じですが、派遣先企業に指揮命令権がありません。エンジニアに直接指示をしてしまうと、偽装請負と見なされるリスクがあります。

このように派遣とSESは、エンジニアの作業時間に対して報酬が発生する点は同じですが、指揮命令権に違いがあります。(※派遣契約は、事業許可を得た派遣企業のみが締結できる契約形態です)

エンジニア派遣の種類 

IT系職種で派遣されるエンジニアは、開発を行うシステムエンジニア(SE)、バックエンドを担当するデータベースエンジニア、クラウドなどのインフラを扱うサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなど、様々な職種に分かれます。


システムエンジニア

システムの設計や、実装のための機能・技術の仕様決め、実際の開発・テストまで、プロジェクト全体の流れを管理するのがシステムエンジニア(SE)の仕事です。元請として受託した案件の場合は、クライアントへのヒアリングから要件定義も行います。

案件の規模や技術分野、経験などによって単価は大きく変わります。

バックエンドエンジニア

サーバー上で動くプログラムの開発、管理を職域とするのがバックエンドエンジニアです。サーバーとデータベースを扱うことが多く、サーバーサイドエンジニアやデータベースエンジニアとも呼ばれます。

バックエンドエンジニアは、汎用機能をまとめたWebフレームワークを使用して開発を行うのが一般的です。自社が必要とする経験を持たない派遣エンジニアでも、他のフレームワーク経験があれば習得は比較的容易です。

フロントエンドエンジニア

Webサイトやアプリなど、ユーザーが直接接する部分のシステムを担当するのがフロントエンドエンジニアです。プログラミングスキルに加え、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)など、ビジュアル部分の素養も必要な職種です。

WebデザインやSEOも含め、どこまでをフロントエンドエンジニアの職域とするかは、派遣会社によっても定義がまちまちです。デザイン寄りなのかシステム開発寄りなのかをはっきりさせておくと、希望のスキルを持った派遣エンジニアを見つけやすくなります。

インフラエンジニア

システムが動くインフラとなる環境そのものを構築、管理するのがインフラエンジニアです。IT分野において、ネットワークはほぼインターネットを指し、ネットに接続するサーバー、またそれらをつなぐネットワーク全体を担当します。

扱う範囲によって、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなどと呼ばれます。近年ではインフラがクラウド化しており、「クラウドエンジニア」という呼称が使われることもあります。

サポートエンジニア

製品の問い合わせやトラブル対応など、ユーザーに対して直接または遠隔でサポートを行うのがサポートエンジニアです。

現場の最前線でシステム開発を行う職種ではありませんが、技術的な問題にも対応できるよう、ITスキルを要求されることが多くなります。そのため、ライフイベントを機に開発から離れた人材や、時短勤務を希望する派遣エンジニアが活躍しやすい職種となっています。

エンジニア派遣のメリット・デメリット

派遣エンジニアを雇用する企業側のメリットは、「即戦力の人材を、必要な時間だけ、迅速に確保できる」点に集約されます。すべてを満たすのが理想ですが、仮にこれらのうち1つが実現するだけでも、採用や教育、管理の工数を大きく減らすことができます。

採用コストをかけずにエンジニアを確保できる

IT業界では慢性的にエンジニアが不足しており、大手と呼ばれるIT企業であっても、開発要員の確保は極めて難しい状況にあります。エンジニア獲得競争の激化で、採用コストも年々上昇しています。

旧来の求人広告や大学へのリクルーティングなどでは思うように採用ができず、SNSやビッグデータ、AIを駆使した採用活動まで、手法も次々と進化。それぞれの採用手法に対応できる人材育成や、ノウハウの蓄積にもコストがかかり、資金力のある大企業にとっても大きな負担となっています。

エンジニア派遣を利用する場合、これらエンジニア確保までのコストが派遣会社負担となるメリットがあります。派遣だけに頼りすぎると、自社に採用ノウハウがたまらないというデメリットはありますが、コストをかけても採用できないリスクが高いため、派遣エンジニアの受け入れを前提とした業務遂行が常態化しているのが現状です。

エンジニアの教育コストを削減できる

エンジニアを社員として採用し、育成していくには時間と工数がかかります。業務に必要な知識・スキルを身につけるための研修のほか、エンジニアのキャリアプランを形成し促していく必要もあり、人材育成に熱心な企業ほど人事部や現場の管理職には大きな負担がかかっています。

エンジニア派遣では、この人材育成にかかるコストが削減できるのもメリットです。そもそも派遣契約時に即戦力の人材を選べるのはもちろん、その後の育成に関しても、教育訓練やキャリアコンサルティングは派遣元が講ずる措置とされています。教育の機会提供や、面談の実施にかかるコストが下がるので、現場の負担を大きく軽減できます。

実際には派遣元からの教育機会提供だけでなく、派遣先企業が行う社員研修や勉強会への参加など、自社社員と一体感を持てる仕組みと並行する方が業務遂行はスムーズですが、派遣会社からの細やかなフォローは工数削減の大きな助けとなります。

エンジニアへの直接指示が可能で、労務コストは派遣会社が負担


「派遣契約」では、派遣エンジニアへの指揮命令権は派遣先企業にあるため、直接の指示が可能です。請負契約やSESとの違いはこの点にあります。SESは、作業時間による報酬制、かつエンジニアが客先常駐で業務を行う点はエンジニア派遣と同じです。ですが、SESの契約形態は「準委任契約」となり、直接の指示ができません。

また、エンジニアへの指揮命令権を持ちつつ、労務コストがかからない点もメリットです。スタッフの給与計算や社会保険・福利厚生などは、派遣会社が提供します。

定着率の問題はある

メリットの多いエンジニア派遣ですが、やはりデメリットもあります。そのうちのひとつが定着率の問題です。

仕事内容や給料、職場環境など、エンジニアが期待するものを提供できていなければ離職率は高くなります。もちろんこれらは派遣に限ったことではありませんが、契約期間と更新がある派遣エンジニアの場合、正社員より離職を切り出しやすい環境にあると言えます。

仕事内容などの契約条件面は、派遣会社の事前マッチングで合う人材かどうかの見極めが行われます。ただ、実際の職場で正社員との待遇の違いを目の当たりにしたり、疎外感があったりすると、「職場を変えたい」という意識は強くなります。

定着率の問題解決のためには、派遣エンジニアの就業前に十分な説明、また就業中に適切なフォローができる派遣会社を選ぶことが重要です。加えて、自社内でも正社員との壁を感じさせない取り組みを行うこと。指示伝達事項に差をつけない、社員と同じ勉強会への参加推奨など、同じ職場の一員として接することで、定着率の改善が可能です。

成果物に対しての保証がない

派遣会社との契約は「労働契約」であり、成果物に対しての保証はありません。成果物に対して報酬が発生する「請負契約」とは異なります。「瑕疵担保責任」もありません。製品に問題がある、あるいは想定していた期間内に完成しなかったというケースでも、作業時間に応じた支払いが発生します。

請負契約では、作業時間や人数にかかわらず成果物の納品で報酬が発生します。代わりに、スタッフに対しての指揮命令権は請負業者側にあるため、現場への直接指示や急な仕様変更などはできません。

一概に、どちらにメリット・デメリットがあるという話ではありませんが、任せたい業務の性質によって使い分けが必要です。

エンジニア派遣の相場単価

エンジニア派遣の単価は、担当する業務やスキルによって決まります。料金は時間給で計算され、派遣単価の目安は以下のとおりです。

設計・開発(組込みソフト,電気,機械)
1時間あたり3,500円~6,000円
システム設計・開発(IT)    
1時間あたり2,800円~6,000円
インフラ設計・構築(IT)    
1時間あたり2,800円~6,000円
テスト・評価(IT)
1時間あたり2,000円~3,500円
システム運用・テクニカルサポート(IT)
1時間あたり2,300円~4,500円

料金には、派遣スタッフの給料、社会保険料、有給休暇費用、諸経費(福利厚生・研修費など)、派遣会社の利益が含まれています。派遣会社や技術分野にもよりますが、おおよそ8割程度はスタッフの給料・社会保険料・有給休暇費用です。そのため、コストダウンを意識しすぎると、技術力があるスタッフの確保は難しくなります。

正社員とのハイブリッドチーム派遣も有用

正社員や常用型派遣エンジニアを中心に、登録型(有期)の派遣社員とチームを組む「ハイブリッドチーム派遣」も注目されています。

エンジニア派遣を組み合わせることで、基本設計までは社員を中心に進め、詳細設計、プログラミング、評価業務は有期の派遣社員で対応するなど、プロジェクトごとに柔軟な人材配置が可能です。また、常用型の派遣エンジニアをリーダーとすることで、指示伝達事項も一本化でき、自社の管理・育成工数の負担も軽減できます。

正社員雇用とは違うメリットがあるのがエンジニア派遣。自社が求めるスキルと最初から完全に一致しなくても、チーム化などでうまく活用できないか、派遣会社に相談してみるのもひとつの方法です。

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