
採用手法13選!各手法の特徴や効果的な利用のポイントを解説
労働人口の減少や働き方の多様化により、近年の採用市場は大きく変化しています。それに伴い、採用手法も拡がりを見せ、新たな手法も登場しました。多くの選択肢の中から自社に適した方法を取り入れ、優秀な人材と出会う機会を増やすことが、企業にとって急務となっています。
本記事では、代表的な採用手法の特徴やメリット・デメリットを比較し、自社に最適な方法を選ぶためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.採用手法一覧とそれぞれの特徴
- 1.1.就職サイト(求人サイト)
- 1.2.紙媒体の求人広告(求人情報誌、チラシ)
- 1.3.人材紹介
- 1.4.人材派遣(紹介予定派遣)
- 1.5.ヘッドハンティング
- 1.6.合同企業説明会・転職イベント
- 1.7.ミートアップ
- 1.8.自社サイト・オウンドメディア運用
- 1.9.ダイレクトリクルーティング
- 1.10.リファラル採用
- 1.11.アルムナイ採用
- 1.12.SNSリクルーティング
- 1.13.ハローワーク
- 2.採用手法を選ぶ際のポイント
- 2.1.自社の採用課題を把握する
- 2.2.採用ターゲットを明確にする
- 2.3.複数の採用手法を柔軟に組み合わせる
- 2.4.採用の評価とフィードバックを行う
- 3.まとめ
採用手法一覧とそれぞれの特徴
採用手法にはそれぞれ特性があります。市場の変化によって新たな採用チャネルも増えた今、改めて各採用手法の内容をまとめました。メリット・デメリットや効果的な活用ポイントも含めて解説します。
就職サイト(求人サイト)
就職サイトは、求人情報を掲載し、求職者からのエントリーを待つ採用手法です。新卒向けのほか、中途採用向けの「転職サイト」などがあり、多くの求職者が利用しています。
【メリット】
- 母集団形成が容易:数十万~数百万人の登録者にリーチ可能。
- コスト効率が高い:採用人数に関係なく固定料金で利用できる。
- 幅広いターゲット層:新卒、中途、専門職など幅広い層を網羅。
【デメリット】
- 他社との競争:求人が埋もれるリスクがあり、上位表示には追加費用が必要。
- 採用保証なし:応募がなくても掲載費用は発生する。
- スクリーニングの負担:ターゲット外の応募が混じる可能性がある。
【特徴と利用のポイント】 |
紙媒体の求人広告(求人情報誌、チラシ)
紙媒体の求人広告は、求人情報誌や新聞折り込みチラシ、フリーペーパーなどに求人情報を掲載する採用手法です。地域密着型の採用活動や、インターネットを利用しない求職者へのアプローチに適しています。
【メリット】
- 地域密着型の採用が可能:エリアごとに発行されるため、特定地域での採用活動に効果的。
- 一覧性の高さ:紙媒体は視覚的に情報を確認しやすく、偶然目にした求職者からの応募が期待できる。
- ネット未使用層へのリーチ:インターネットを利用しない層にも情報を届けられる。
【デメリット】
- 情報量の制限:紙面スペースが限られているため、十分な情報を掲載しにくい。
- 修正不可:発行後に情報の変更ができないため、事前の内容確認が重要。
- 費用対効果が不透明:流入経路が判別しづらい場合があり、正確な効果測定が難しい。
【特徴と利用のポイント】 |
人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社に依頼し、自社が求める要件に合致する人材を紹介してもらう採用手法です。主に中途採用を対象としたサービスが多く、成果報酬型が主流です。紹介会社のコンサルタントが事前に候補者をスクリーニングしてくれるため、採用工数を削減しつつ効率よく採用活動を進めることができます。
【メリット】
- 効率的なターゲット接触:自社の採用要件に基づいてスクリーニングされた人材が紹介されるため、効率よくターゲット層にリーチできる。
- 成果報酬型でリスク軽減:採用が決まらない限り費用が発生しないため、コストを管理しやすい。
- 非公開求人への対応:特定のポジションを公に募集したくない場合に使える。
【デメリット】
- ノウハウ蓄積の難しさ:採用プロセスを人材紹介会社に委託するため、自社内で採用ノウハウが蓄積しにくい。
- 大量採用に不向き:特定のスキルや経験を狙う場合が多く、大量採用には適さない。
- 採用コストが高い:成果報酬を想定年収の30〜40%程度で設定している会社が多く、高額になりがち。
【特徴と利用のポイント】 人材紹介サービスは、自社内に採用活動のノウハウ・リソースが不十分な場合や、特定のスキルや経験が求められるポジションに対して有効な手法です。分野(ITなど)に特化した紹介会社も多く、利用する際は、自社の採用要件に合致した人材を抱えるサービスを選びましょう。複数の紹介会社に並行して依頼することも問題はなく、ターゲット層への接触機会を増やせます。大量採用よりも、質の高い人材の少数採用や非公開ポジションの採用に適した手法です。 |
人材派遣(紹介予定派遣)
人材派遣は、派遣会社に登録されているスタッフが派遣先企業で業務に従事する仕組みです。一般的な登録型派遣と常用型派遣、さらに紹介予定派遣があり、それぞれの特徴に応じて柔軟に活用できます。ここでは、特に紹介予定派遣について解説します。
- 登録型派遣:有期雇用契約で、派遣社員の雇用形態として広く知られているもの。
- 常用型派遣:派遣会社と無期雇用の契約を結んでいる派遣社員を派遣する形態。
- 紹介予定派遣:最長6ヶ月の派遣期間終了後に、企業と派遣社員が合意すれば直接雇用へ切り替わる仕組み。
一方、派遣社員が派遣元と無期雇用の派遣契約を結んでいる場合は「常用型派遣」と呼ばれ、このルールの対象外となります。この場合は、同一の事業所で3年を超えて勤務できます。3年ルールが適用されることになった2015年の労働者派遣法の改正以降、派遣会社ではこの無期雇用契約を進める動きが広がっています。
【メリット】
- 即戦力を確保:希望に添うスキルを持つ人材を短期間で確保できる。
- 採用工数の軽減:候補者の選定は派遣会社が事前に行い、スケジュール調整などの連絡も任せられるため、採用工数を軽減できる。
- ミスマッチ防止:最長6カ月間の派遣期間を通じて、働きぶりや適性を確認した上で直接雇用に繋げられる。
【デメリット】
- コストの増加:派遣勤務中の派遣料金のほか、直接雇用が決まった際は紹介手数料がかかる。
- 採用辞退の可能性:派遣期間中に研修や業務のフォローを行っても入社には至らない可能性がある。
【特徴と利用のポイント】 紹介予定派遣では、派遣社員のスキルや職場への適応を評価する期間が設けられるため、採用のミスマッチを減らし、長期的な雇用を見据えた利用が可能です。ただ、期間中は、派遣社員からも会社の体質や風土が自身に合うか見られている点には注意が必要です。 |
ヘッドハンティング
企業の求める人材に専門のヘッドハンターがスカウトを行い、転職に導く採用手法です。ヘッドハンティングは、主に経営幹部や高度なスキルを持つ専門職など、特定の能力や経験が必要な人材の獲得に利用されます。
【メリット】
- ターゲット層の精度が高い:転職市場に出ていない優秀な人材にアプローチできるため、特定のスキルや経験を持つ人材を効率的に獲得できる。
- 高スキル人材や経営幹部へのアプローチ:プロフェッショナルや経営幹部クラスの人材に直接アプローチできる。
- 経営状況や業績の改善:経営幹部や高スキル人材は組織や業績への影響が強く、求める人材が採用できた場合は経営状況を一気に好転させる可能性がある。
【デメリット】
- 費用が高額:ヘッドハンティングのコストは高めで、成功報酬や着手金が必要。採用成功時の報酬は、想定年収の25〜35%程度。
- 時間がかかる:ターゲットとする人材が転職意思を持っているとは限らず、スカウトから採用までに時間がかかるケースが多い。
- 確実性が低い:ターゲットとなる人材がスカウトに応じない場合や、条件面で折り合いがつかない場合がある。
【特徴と利用のポイント】
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合同企業説明会・転職イベント
合同企業説明会などのいわゆる転職イベントは、複数の企業が一堂に会し、求職者に直接アプローチできる採用手法です。新卒採用向けの合同説明会や中途採用向けの転職フェアなど、目的やターゲットに応じた多様な形式があります。
【メリット】
- 幅広い層へのアプローチ:転職イベントには転職潜在層も訪れるため、多様な求職者にリーチできる。
- 求職者との直接交流:求職者と直接対話できるため自社の魅力を伝えやすく、その場で一次面接を行うことも可能。
- 企業認知・ブランドの向上:自社に興味のなかった求職者の認知を得られ、また求人広告では伝わりにくい社風や雰囲気もアピールできる。
【デメリット】
- 費用対効果の不確定性:出展料が高額な場合もあり、来場者数次第で成果にばらつきが出る。
- 出展企業との競争:同じ会場内に知名度の高い企業がいる場合、人の流れを自社へ引き込みにくい可能性がある。
- 運営の負担:ブースの装飾やプレゼンの準備が必要で、当日は数名が長時間拘束される。
【特徴と利用のポイント】
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ミートアップ
ミートアップは、求職者を対象にした少人数の交流イベントや勉強会のことで、企業と転職潜在層との関係を深める採用手法です。オフィスでの開催のほか、カフェで行うカジュアルなものからホテルの会場を借りて行うものまで、多様な形式があります。
【メリット】
- 転職潜在層へアプローチ可能:すぐに転職を考えていない層にもリーチできる。
- 企業ブランディングに有効:企業の価値観や社風を直接伝える場として活用できる。
- 採用ミスマッチの防止:気軽な雰囲気で求職者と直接交流できるため、互いの理解が深まり、採用のマッチング精度が高くなる。
【デメリット】
- 準備・運営に労力がかかる:イベント企画や集客には工数が必要。
- 即効性が低い:短期間での採用成果にはつながりにくい。
- 集客の工夫が必要:SNSなど、告知媒体の活用が不可欠。
【特徴と利用のポイント】
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自社サイト・オウンドメディア運用
自社サイトやオウンドメディアを活用した採用手法は、企業が独自に運営するWebサイトを通じて採用情報などを発信する方法です。
オウンドメディアは、採用情報や自社アピールに限らず、幅広い切り口の記事を掲載しアクセスを集める手法で、文字通り自社でメディアを持ちます。十分なユーザーアクセスがあれば、外部の求人サイトなどに広告費を支払うことなく、会社説明会やセミナーなどの告知媒体として利用できます。また、特設ページなどで求職者に企業文化や価値観を直接伝えることができ、ブランディングにも寄与します。
【メリット】
- 自社の魅力を自由に発信可能:自社の理念や働く環境を詳細に伝えられる。
- 潜在層へのアプローチ:転職を考えていない層にも情報を届け、興味を喚起できる。
- コスト削減:中長期的に見て、採用コストを抑えられる。
- ブランディング強化:企業価値を高め、求職者の信頼感や志望度を向上させる。
【デメリット】
- 立ち上げや運用の負担:Webサイトやメディア構築には初期費用と労力が必要。
- 効果が現れるまで時間がかかる:コンテンツの充実やSEO対策が必要で、すぐに成果は出しにくい。
- 継続的なコンテンツ制作が必要:ターゲットを惹きつける内容を定期的に更新する必要がある。
【特徴と利用のポイント】
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ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら求職者を探し出し、直接アプローチする採用手法です。従来の「待ち」の採用とは異なり、SNSや人材データベース、社員のネットワークなどを活用して、ターゲットにピンポイントでアプローチできる「攻め」の採用として注目されています。
【メリット】
- 質の高い母集団形成:自社にマッチする人材を選定し、スカウトできる。
- 潜在層へのアプローチ:転職活動をしていない層にもアプローチ可能。
- 採用ノウハウの蓄積:人材を探すところから、アプローチ、採用まですべて自社で行うため、採用力を高めやすくノウハウとして残していける。
【デメリット】
- 工数の増加:候補者の選定やコミュニケーションに時間がかかる。
- 採用難度の上昇:候補者の志望度が低い場合、説得が必要になる。
- 大量採用には不向き:一度に多くの採用は難しい手法。
【特徴と利用のポイント】
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リファラル採用
リファラル採用は、社員の友人や知人を紹介してもらい候補者を募る採用手法です。推薦者が自社をよく理解しているため、企業文化にマッチする人材を効率よく採用できるとして、多くの企業で注目されています。特に人材の質を重視した採用活動に適しています。
【メリット】
- 企業風土や文化への適応:自社の理念や文化を理解する社員が推薦するため、価値観が一致しやすい。
- コスト削減:求人広告や人材紹介サービスを使わずに採用可能。
- 定着率の向上:被紹介者が既に社員との関係性を持っているため、職場への適応がスムーズ。
【デメリット】
- 母集団形成の難しさ:社員の人脈に依存するため、候補者数が限定される。
- 偏りのリスク:推薦者の主観が強くなる場合があり、多様性の確保が課題となる。
- 紹介者との関係性への配慮:不採用時に社員と候補者の関係が悪化する可能性がある。
【特徴と利用のポイント】
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アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、過去に自社を退職した人材を再び雇用する採用手法です。「ジョブリターン制度」や「カムバック制度」とも呼ばれ、即戦力人材の確保手段として注目されています。
【メリット】
- 即戦力の確保:企業文化や業務を理解しているため、早期に成果を出せる。
- ミスマッチの軽減:過去に勤務経験があり、ミスマッチが起きにくい。
- 教育コストの削減:研修や指導の負担が軽減される。
- 外部経験の活用:他社で培った新しいスキルや視点を活かせる。
【デメリット】
- 採用対象の制限:過去の退職者に限定されるため、大量採用には向かない。
- 関係維持の負担:人的ネットワーク構築や維持に手間がかかる。
- 待遇の不公平感:再雇用者と既存社員の待遇に差があると不満が生じる。
【特徴と利用のポイント】
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SNSリクルーティング
SNSを活用して求職者にアプローチする採用手法です。自社のアカウントで求人情報や会社の魅力を発信するだけでなく、ターゲット層に直接コンタクトを取るスカウト型の運用も可能です。主要なSNSとしてX(旧Twitter)、LinkedIn、Facebook、Instagramなどが挙げられます。
【メリット】
- 低コストで実施可能:アカウントの開設や基本運用は無料で可能。
- 広範囲へのリーチ:SNSを通じて地域や国を問わず幅広い求職者にアプローチできる。
- ターゲットの把握:候補者の投稿や活動を通じて価値観や人柄を把握できる。
【デメリット】
- 属人的な運用負担:継続的な情報発信が必要で、運用担当者のSNSスキルにも左右される。
- 炎上リスク:運用方法や発言内容によっては炎上のリスクがある。
【特徴と利用のポイント】
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ハローワーク
ハローワークは、厚生労働省が運営する公共職業安定所で、求人票の掲載や応募者とのマッチングを無料で提供しています。幅広い年齢層の休職者が利用しており、地域密着型の採用活動に適しています。
【メリット】
- 採用コストを抑えられる:求人票の掲載が完全無料で、広告費を節約可能。
- 地域密着型の採用が可能:全国の拠点を通じて地元求職者にリーチできる。
- 幅広い層にアプローチ可能:若年層からシニア層まで多様なターゲットを網羅。
【デメリット】
- 記載内容の制約:求人の記載項目や文字数に制限があり、企業の魅力を十分に伝えにくい。
- 専門性の高い人材採用には不向き:高度なスキルや経験を持つ求職者は他の手法を利用する場合が多い。
- 業務負担の増加:求人票作成や応募者対応を全て自社で行う必要がある。
【特徴と利用のポイント】 |
採用手法を選ぶ際のポイント
採用手法を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。自社に最適な手法を選ぶことで採用効率を高め、理想の人材に出会える可能性を広げましょう。
自社の採用課題を把握する
採用手法を選ぶ前に、まず自社の採用課題を明確にすることが重要です。たとえば、採用にコストがかかりすぎているのなら、課題は「採用コストの抑制」です。希望に添う人材の応募者が少ないのであれば「質の高い母集団の形成」。採用担当者の負担が大きく、業務が回っていないのなら「採用工数の削減」となります。自社の状況や課題を把握することで、適切な採用戦略を立てやすくなります。過去の採用データを分析し、課題を把握することから始めましょう。
採用ターゲットを明確にする
採用したい人材を明確にすることで、最適な採用手法を選択できます。ターゲットを設定する際は、求める人材の年齢、学歴、資格などの「ハードスキル」に加え、性格や価値観などの「ソフトスキル」も含めて行います。詳細な人物像を描き出し、求める人材のペルソナを設定しましょう。社内で活躍中の人材などをモデルにすることで、採用基準を具体化しやすくなります。
複数の採用手法を柔軟に組み合わせる
採用活動では、一つの手法だけに頼らず、複数の方法を組み合わせることが有効です。リファラル採用やアルムナイ採用など、そもそも単体では採用活動として十分な人数を確保しづらい手法もあります。各手法それぞれの長所を活用し、組み合わせることで、幅広い母集団の形成を目指しましょう。また、新しい手法を導入する際は、既存の成功事例を土台に、少しずつ取り入れていくことがポイントです。
採用の評価とフィードバックを行う
採用活動が一区切りついた後は、採用手法の効果を評価し、次の採用に向けた改善点を見つけることが大切です。どの手法が成功につながったか、またはどの部分に問題があったかを分析し、次回の採用活動に反映させましょう。継続的な改善が、採用成功率を向上させます。
まとめ
採用手法は多様化しており、本記事で紹介した手法以外にも様々な方法が存在します。また、市場環境の変化により新しい手法も生まれ続けています。ただ、どれだけ手法が進化・多様化しても、大切なのは「自社の採用課題を解決できるか」という点です。各手法の特徴やメリット・デメリットを理解し、必要なものを取り入れていきましょう。