業務改善ツール25選 導入や定着のポイントも解説
労働力人口の減少や働き方の多様化で、業務のやり方を見直す「業務改善」が多くの企業で進められています。また、合わせて業務改善ツールも新しい発想のサービスが多数提供され、導入が進んでいます。
本記事では、業務改善ツールを目的ごとのカテゴリーにわけ、それぞれ具体的な製品をあげて特徴を紹介し、導入のポイントも解説します。
目次[非表示]
- 1.業務改善ツール導入の目的とメリット
- 2.業務改善ツールのカテゴリー
- 3.マニュアル作成ツール
- 3.1.Teachme Biz
- 3.2.はたらきかたマニュアル
- 3.3.Dojo
- 4.ペーパーレス化
- 4.1.CloudSign
- 4.2.DocuSign
- 4.3.マネーフォワード クラウド請求書
- 4.4.楽楽精算
- 5.RPA(業務自動化)ツール
- 5.1.UiPath
- 5.2.WinActor
- 5.3.Blue Prism
- 6.コミュニケーションツール
- 7.ビデオ会議ツール
- 7.1.Microsoft Teams
- 7.2.Zoom
- 7.3.Google Meet
- 8.プロジェクト管理ツール
- 9.CRM(顧客管理)ツール
- 9.1.Oracle CRM
- 9.2.Zoho CRM
- 9.3.Zendesk
- 10.SFA(営業支援)ツール
- 10.1.Sales Cloud
- 10.2.SAP Sales Cloud
- 10.3.Microsoft Dynamics 365
- 11.業務改善ツール導入のポイント
- 11.1.改善すべき課題とゴールを明確に
- 11.2.業務をすべて置き換えようとしない
- 11.3.ツールに合わせて“人”の業務を決める
- 12.使われる業務改善ツールを導入するために
業務改善ツール導入の目的とメリット
業務改善ツール導入の目的は「生産性の向上」に集約されます。そのためのアプローチとしては大きく2つ。業務プロセスの効率化と、会社ルールの見直しです。
業務プロセスの効率化は、RPA(業務自動化)やCRM(顧客管理)ツール導入などが代表的で、特定業務の効率化を行います。一方で後者の会社ルールの見直しは、契約書や請求書を電子化するペーパーレス化や、メールからチャットシステムへの変更など、全社的な働き方(ルール)を変えることで生産性の向上を目指します。
具体的な「生産性」の中身は、QCDのフレームワークに添って考えます。すなわちQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の観点です。これらをより高いレベルへ押し上げることが業務改善ツール導入の目的であり、得られるメリットです。具体的には、ツールごとに以下のようなメリットがあります。
品質の向上
ツールにより作業が標準化、自動化されると、作業手順のムダや担当者によるムラが最小化され、全体の品質改善に効果が見込めます。
マニュアル作成ツールのほか、RPAによる自動化やSFA(営業支援)ツールによる情報共有など、多くのツールが業務品質の向上に役立ちます。
コスト削減
コスト削減は業務改善ツールの導入メリットとしてイメージしやすく、実際の成果計測も容易なため、積極的に進めたい分野です。
紙の書類や郵送をなくすペーパーレス化、出張や大会議室が不要になるビデオ会議ツールなどが該当します。
スピードアップ
業務を効率よく行うために設計されたものが「業務改善ツール」であるため、ほぼすべてのツールでスピードアップ効果はみられます。
削減できた時間を商品開発や顧客対応など、サービス品質の向上にあてることができます。
労働環境の改善
QCDに該当するメリットのほか、「労働環境の改善」もツール導入の大きなメリットです。
生産年齢人口の減少が続き、各社で労働力不足の解消や人材の定着に向けた様々な取り組みが行われています。業務負担を軽減し、快適な労働環境を整えることは、採用競争力を向上させる大きなポイントとなります。
業務改善ツールのカテゴリー
業務効率化を目的としたツールは、目的ごとに多数のサービスが提供されています。この記事では、業務改善ツールを下記のカテゴリーにわけてご紹介します。
業務効率化ツールカテゴリー
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カテゴリーごとに各社が製品やサービスを提供しており、複数分野にまたがるものもあります。海外製のツールも多くありますが、紹介は日本語でのサポートが充実しているものだけに限定しました。
マニュアル作成ツール
業務改善のひとつに「業務の標準化」があります。業務標準化とは、業務を誰が見てもわかりやすいフローやタスクにまとめ、業務品質の均一化を目指す作業を指します。個人のスキルや経験を全体に波及させ、かつ属人化を防ぐ効果があります。
そんな業務標準化の際に必要になるのが、業務の手順やコツを記したマニュアルです。ここでは、テキストや動画でのマニュアル作成・共有が簡単に行えるツールを紹介します。
Teachme Biz
Teachme Biz(ティーチミー ビズ)は、テンプレートに沿って文字や画像を入れることでマニュアル作成が行えるツールです。画像編集や動画の切り抜きもアプリ内(PC・スマートフォン・タブレット)で完結でき、特別な編集スキルがなくとも利用できます。作ったマニュアルの検索機能や閲覧できるユーザーの設定など、作成者・利用者ともに簡単に使える機能が充実しています。
Teachme Biz
https://biz.teachme.jp/
はたらきかたマニュアル
はたらきかたマニュアルは、マニュアルの作成から評価、翻訳、配信までを行う総合サービスで、作成部分は「はたらきかたエディター」で行います。ブラウザから直接編集するツールのため、端末ごとにアプリをインストールする必要がなく、複数人での共同制作も可能です。テンプレートやパーツがあらかじめ用意されており、ドラッグ&ドロップ操作で簡単に編集が行えます。
はたらきかたマニュアル
https://www.how2work.jp/
Dojo
Dojo(ドージョー)は、キャプチャー機能により操作を録画してマニュアルを作成するツールです。動画編集のほか、画面の切り貼りやテキスト・音声の追加などもツール内で完結するため、それぞれの特別なスキルなしで操作できます。また、データの書き出しは、サイト形式や動画などの動的コンテンツだけでなく、WordやExcelにも対応しているため、1つのマニュアルデータから複数の形式で利用できます。
ペーパーレス化
ペーパーレス化は、紙の書類を極力減らして印刷にかかる費用を削減、かつ社内や取引先とのやりとりを効率化するために行われます。電子化による保管場所の減少や検索のしやすさなど、間接的な効果もあります。潜在的なメリットの大きい業務改善手段です。
CloudSign
CloudSign(クラウドサイン)は、電子化してアップロードされた書面で契約を結ぶ電子契約書サービスです。提供は弁護士ドットコム社で、日本の法律に特化した契約プラットフォームとして、国内大手企業や官公庁などにも幅広く利用されています。グルーピングや承認権限のカスタマイズ、アクセス制限の設定など、自社のセキュリティレベルに合わせた運用が可能です。
CloudSign
https://www.cloudsign.jp/
DocuSign
アメリカに本社を置くDocuSign(ドキュサイン)は、世界シェアトップの電子署名・電子契約書サービスです。180国以上で導入され、多言語で契約書の作成・署名が可能なため、特に海外企業との取引が多い企業に使われます。米国のESIGN法やEUのeIDAS規則など、海外の法律にも対応しており、セキュリティに関しても世界各国で認証を取得しています。
DocuSign
https://www.docusign.jp/
マネーフォワード クラウド請求書
マネーフォワード クラウド請求書は、テンプレートから見積書や請求書などの帳票を作成・管理できるクラウド請求書発行システムです。作成した帳票は、メールやダウンロードリンクでの送信、また郵送が必要であればそのまま代行も可能で、紙での作業の一切をなくすことができます。インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応しています。
マネーフォワード クラウド請求書
https://biz.moneyforward.com/invoice/
楽楽精算
楽楽精算(らくらくせいさん)は、交通費や出張交際費などの経費精算を管理するシステムです。交通系ICカードからの自動読み込み、領収書の撮影取り込みなど、紙のやりとりやExcelなどへの入力をなくし、精算業務を効率化できます。電子帳簿保存法にも対応しており、原本の保存も不要です。精算ルールの設定や自動仕訳で、経理担当者や承認者の作業も大きく削減できます。
楽楽精算
https://www.rakurakuseisan.jp/
RPA(業務自動化)ツール
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、PC上で行う事務作業をソフトウェアロボットに記録して自動化するツールです。自社システムやパッケージソフトに縛られず、異なるソフト間でも自由に作業を組み合わせることができます。
UiPath
UiPath(ユーアイパス)は世界中で広く利用されているRPAツールです。ドラッグ&ドロップによる簡単な操作で様々なロボットを作ることができるため、非エンジニアにも扱いやすいのが特徴。単純な業務の自動化から、複雑で大規模なプロジェクトまで対応できる自動化ツールです。日本語コンテンツや関連書籍が充実しており、サイトには「UiPathアカデミー」として無料のオンライントレーニングも用意されています。
UiPath
https://www.uipath.com/ja
WinActor
WinActor(ウィンアクター)はNTTグループが開発した国産RPAツールです。Windows OS上で行う様々な作業を録画・編集することで、シナリオと呼ばれる業務手順を作成し自動化を行います。Office製品と自社の業務システムの連携など、日本企業で多く行われている業務や働き方に対応しやすく、また純国産であるため、日本語マニュアルやサポートが利用しやすいという特徴があります。
WinActor
https://winactor.com/
Blue Prism
Blue Prism(ブループリズム)は、イギリスのBlue Prism社が開発した老舗のRPAツールです。オブジェクトの概念を持つため、作ったロボット(の部品)を他の業務自動化に使い回すことで開発効率のアップが可能です。またサーバー型かつデータベースによる一元管理を行うため、ログイン認証や実行状況のログが残るなど、セキュリティに優れているのも特徴のひとつです。
Blue Prism
https://www.blueprism.com/japan/
コミュニケーションツール
企業内コミュニケーションは、従来のメールによるやりとりからチャットへの転換が起こっています。短文かつリアルタイムで素早いコミュニケーションが可能で、流れを分断せず多人数でやりとりができるなど、現代の働き方に合うツールとして利用が拡大。上長にも臆せず発言がしやすいという利点もあり、若い世代からも支持を受けています。
Chatwork
シンプルな機能と価格で、多くの中小企業に利用されているChatwork(チャットワーク)。1対1のコミュニケーションのほか、グループ会話も直感的で分かりやすく、作成や運用が容易にできます。自身やメンバーのタスク管理機能も備えています。
Chatwork
https://go.chatwork.com/ja/
Slack
Slack(スラック)は、米国企業の社内ツールから始まったビジネスチャットツールです。様々な他社製アプリとの連携が可能で、通知などの一元管理ができます。書類や画像の共有のためのファイル管理もでき、音声データの送信も可能です。
Slack
https://slack.com/intl/ja-jp
Skype
コミュニケーションツールの老舗であるSkype(スカイプ)は、通話機能のほか、チャットツールとしても利用できます。テキスト、音声、画像、映像のやりとりができる点はほかのコミュニケーションツールと同じですが、通話中の声や映像がクリアに届く特徴があります。
Skype
https://www.skype.com/ja/
ビデオ会議ツール
ビデオ会議ツールの多くは、テキストによるチャット機能を併せ持っています。そのため大きな意味ではコミュニケーションツールに含まれますが、映像での最大同時接続数や画面共有、録画機能など、ビデオ会議に適した機能に特徴があります。
Microsoft Teams
Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ)はMicrosoft社が提供するビジネスツールで、チャットやビデオ会議を中心に様々な機能があります。Office製品との連携のしやすさが特徴で、スケジュール管理や会議資料の共有・保管なども、Teams内で完結できるのが強みです。Microsoft365(旧称Office365)を利用していれば、基本的に無料で利用が可能です。
Microsoft Teams
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
Zoom
ID登録やログイン不要ですぐにつながる利便性が支持され、世界中で使われているZoom(ズーム)。多くのビデオ会議ツールがチャットから発展してきたのに対し、Zoomははっきりとミーティング(会議)をコンセプトとして打ち出しています。同時接続時の映像音声の品質、ミーティングのセキュリティなど、リモート環境に必要な安定性を備えています。
Zoom
https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/
Google Meet
Google Meet(グーグル ミート)は、Googleが提供するビデオ会議ツールです。専用アプリなしのブラウザ上で利用でき、Googleが提供するサービス(gmailやカレンダーなど)との連携に優れています。無料プランで使用できる人数や時間に、比較的余裕があるのも特徴です。
Google Meet
https://apps.google.com/intl/ja/meet/
プロジェクト管理ツール
リモートワークが進み、進捗や情報の共有にプロジェクト管理ツールを活用する企業が増えています。従来のエクセルなどによる進捗管理や個々人のタスク管理とは違い、大人数かつ複数のプロジェクトを管理・共有しやすいのが特徴です。
Redmine
Redmine(レッドマイン)は無料で使えるオープンソースのプロジェクト管理ツールです。タスクを「チケット」として設定する仕組みで、それらをまとめてプロジェクトとして管理します。個人やグループごとに閲覧権限やステータスの設定が可能で、業務に合わせてカスタマイズしやすくなっています。
Redmine
https://redmine.jp/
Asana
Asana(アサナ)は、個人のタスク管理からチーム全体の進捗管理まで幅広く使えるプロジェクト管理ツールです。ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるため、管理ツールに慣れていない方にも使いやすいUIです。プロジェクト全体を俯瞰する画面からチームメイトの細かなタスクを確認したり、フォームで仕事のリクエストを受けたりと、仕事量の調整がしやすくなっています。
Asana
https://asana.com/ja
Backlog
国産のプロジェクト管理ツールBacklog(バックログ)は、「いいね」ボタンやコメントなど、SNSのような機能とUIが特徴で、チームのコミュニケーションを円滑にする効果をうたっています。操作もシンプルで、ガントチャートやマイルストーンの作成・更新が簡単にでき、作業の分担が多いWebデザインやシステム開発などを中心に幅広く利用されています。
Backlog
https://backlog.com/ja/
CRM(顧客管理)ツール
CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)ツールは、ビジネス活動の核といえる顧客情報を集約する重要なツールであるため、各社から多種多様な製品が提供されています。業務効率化のほか、蓄積により得られる情報をもとに、マーケティングや営業支援、顧客満足度の向上などにつながるツールとして利用されます。
※ここで紹介するツールは後述のSFAツールとしても利用できます
Oracle CRM
Oracle CRM(オラクル シーアールエム)には、クラウド型とオンプレミス型の選択が可能という特徴があります。クラウド型は、Oracle社が提供するサーバーにアクセスする方式。インターネット接続で場所を問わず自由に使えるのがメリットです。対してオンプレミス型は自社(サーバー)で管理を行います。社内にエンジニアがいれば必要な機能を自由に拡張して使えます。
Oracle CRM
https://www.oracle.com/jp/cx/what-is-crm/
Zoho CRM
Zoho CRM(ゾーホー シーアールエム)は、比較的低コストかつ初期費用なしで運用できるため、スタートアップや中小企業にも幅広く利用されている顧客管理ツールです。分析レポートの作成やAIによる次のアプローチ提案など、記録した顧客データから自動で営業支援につなげる機能を持っています。
Zoho CRM
https://www.zoho.com/jp/crm/
Zendesk
Zendesk(ゼンデスク)は、「質の高い会話」が顧客満足度を高めるというコンセプトの製品です。顧客が望むチャネル(メール、メッセージングアプリ、SNS、電話など)でのサポート機能追加、またそれらの問い合わせ対応の自動化や一元管理がシステム上で行えます。CRMとしては、接客やチャット、オンライン対応に重点を置いた「Zendesk for Service」、SFA(営業支援)は「Zendesk for Sales」として、パッケージを分けて提供されています。
Zendesk
https://www.zendesk.co.jp/
SFA(営業支援)ツール
SFA(セールス フォース オートメーション)ツールは、顧客情報や商談内容を一元化し、営業を効率的に管理するツールです。レポートや請求書の作成など、営業担当をサポートする機能のほか、次回アプローチのタイミングや予想受注金額などを提案する分析機能も、多くのツールが備えています。
営業活動そのものを可視化することで、担当者のスキルに依存していた「営業力」を標準化し、組織全体の営業力強化につなげることができます。
Sales Cloud
Sales Cloud(セールス クラウド)は、米国に本社を置くセールスフォース社が提供するSFAツールです。非常に多機能で、顧客管理や案件管理のほか、見込み客の評価やアプローチのタイミング提案、リアルタイム売上予測など、AIによる支援で営業を効率化できます。特定の機能をさらに強化できるアドオンも用意されており、自社の用途に合わせた運用が可能です。
Sales Cloud
https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
SAP Sales Cloud
SAP Sales Cloud(エスエーピー セールス クラウド)は、ERPシステムで世界シェアを持つSAPが提供するSFAツールです。基本的な営業情報の集約のほか、AIのレコメンドによるタスクの自動化、対話形式で使えるダッシュボードなど、営業担当の作業を軽減・効率化できる機能を備えています。PCとモバイル、またオンライン・オフラインどちらでも使えるため、隙間時間でも効率よく利用できます。
SAP Sales Cloud
https://www.sap.com/japan/products/crm/sales-cloud.html
Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト ダイナミクス 365)は、Microsoft社が提供する総合ビジネスアプリケーションです。多数のアプリケーションの集合体であり、SFAのほかCRMやプロジェクト管理、ERPまで幅広い業務に対応します。同社のほかのサービスであるOffice、OneDrive、Teamsやスカイプとの連携に優れ、共通のアカウントで使用できます。
Microsoft Dynamics 365
https://dynamics.microsoft.com/ja-jp/
業務改善ツール導入のポイント
業務改善ツールは企業活動の生産性を上げる大きな武器となりますが、やみくもに導入しても十分な効果は得られません。ツールを最大限に活かすため押さえるべきポイントには、以下のようなものがあります。
改善すべき課題とゴールを明確に
「紙ベースの資料をなくしたい」「手作業が多いのでツールを導入したい」など、ツール導入検討のきっかけは様々ですが、ピンポイントの作業部分だけで判断しないことが大切です。
まずは、対象業務が全体の流れのなかでどのような意味を持つのか、ボトルネックは本当にその作業なのか、業務全体を俯瞰して課題を整理することから始めます。
ツールはあくまでも「道具」であり、課題を解決するのは人です。改善すべき課題を見つけ、ゴールの設定を行ったうえで、必要であればツールを検討するようにします。
業務をすべて置き換えようとしない
業務改善におけるツールの使用(システム化)は、現在行っている業務をすべてそのまま代替することではありません。また、そうすべきではありません。今の業務に無駄な行程が残っている可能性があるからです。
業務改善手法としてはおおむね以下のような視点があります。
業務改善策の視点
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先に廃止や簡略化を行って業務をスリム化し、システム化や自動化を検討するのは基本的に最後です。そうすることで、無駄な行程を含んだままツールを導入するリスクを避けることができます。
ツールに合わせて“人”の業務を決める
各種の効率化ツールは、サービス提供各社が「最も効率的な業務遂行手段」と考える内容で開発されています。また、時代の変化や多くの企業からのフィードバックを取り入れ、常にブラッシュアップもなされています。対象業務に関しては、誰よりも効率化を考え、課題解決手法を探求し続けているといえるでしょう。
であれば、自社のやり方をそのままシステム化しようとするより、ツールが推奨するやり方に合わせて自社の業務を変えるほうが、より改善効果を得られる可能性は高くなります。「自社に必要な機能がない」とツールを検討から外すのではなく、「そもそも業務に必要ない機能(作業)なのでは」「ツールができない部分に合わせて人を配置する」のような視点でも考えてみましょう。
必ずこのような発想でツールの選定を行うべき、というわけではありませんが、考え方のひとつとして覚えておくと、より効果のあるツールを選ぶ可能性は高くなります。
使われる業務改善ツールを導入するために
業務改善ツールは、うまく活用できれば企業が活性化され、導入コスト以上の生産性が得られます。
一方で、導入したものの活用されないままになるケースも見られます。業務担当者にヒアリングをしないトップダウンや、逆に現場に丸投げするなどの場合に特に起こりやすくなります。業務改善ツール導入のポイントで述べたように、ツール導入の目的やゴールを、関係者全員で共有することが何よりも重要です。
ツール導入ありきでプロジェクトを進めるのではなく、業務改善手段のひとつと考え、うまく活用していきましょう。
参考リンク