【外国人エンジニアの雇用】ビザや在留資格は?必要手続・書類について解説
外国人エンジニアの雇用を考えようとした場合こんなことが気になるのではないでしょうか。
- どういった手続きが必要なのか
- 手続きに必要な書類はどういったものか
- 雇用後に必要な管理にはどんなものがあるのか
今回の記事はこのような疑問にお答えするべく、外国人を雇用する際の手続きと入社後の雇用管理についてわかりやすくご説明します。
目次[非表示]
- 1.外国人エンジニアに必要なビザ・在留資格とは
- 2.外国人エンジニアの雇用にあたり必要な基本的手続き
- 2.1.ステップ1:在留資格の取得見込みの確認
- 2.2.ステップ2:雇用契約書の作成と通知
- 2.3.ステップ3:就労ビザの申請
- 2.4.ステップ4:雇用後の手続き
- 3.外国人エンジニアを雇用するにあたって必要な書類
- 4.外国人エンジニアの募集および入社後の雇用管理
- 4.1.外国人労働者の募集及び採用の適正化
- 4.2.適正な労働条件の確保
- 4.3.安全衛生の確保
- 4.4.労働・社会保険の適用等
- 4.5.適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
- 4.6.解雇等の予防及び再就職の援助
- 5.まとめ
外国人エンジニアに必要なビザ・在留資格とは
まず外国人エンジニアを雇用するには、適切なビザ・在留資格を取得する必要があります。
外国人エンジニアを雇用する場合の対象となるビザ・在留資格はどれになるのか見ていきましょう。機械設計やシステム開発、プログラマーなどの職種で外国人を雇用する際に必要なビザと在留資格には大きく分けて以下の2つがあります。
外国人エンジニアに必要なビザ・在留資格:その1
- ビザ:就業ビザ
- 在留資格:技術・人文知識・国際業務*
*技術・人文知識・国際業務について
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学、その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務(技術・人文知識)、又は外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(国際業務)に従事する活動を行う外国人が取得できる在留資格
外国人エンジニアに必要なビザ・在留資格:その2
- ビザ:就業ビザ
- 在留資格:高度専門職1号(ロ)*
*高度専門職1号(ロ)について
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動を行う高度人材外国人が取得できる在留資格
(技術・人文知識・国際業務における「技術・人文知識」に相当する業務)
高度専門職1号(ロ)の場合は、永住許可要件の緩和や配偶者の就労といった優遇措置が設けられていますので、外国人エンジニアの志向や状況などに合わせてどちらの在留資格が適しているか判断することになるでしょう。優遇措置の詳しい内容は出入国管理庁のサイトを参照ください。
外国人エンジニアの雇用にあたり必要な基本的手続き
続いて外国人エンジニアを雇用するために必要な手続きや対応を見ていきます。これらは図の通り大きく4つのステップに分かれています。一つずつ見ていきましょう。
図.外国人エンジニアの雇用ステップの全体フロー図
ステップ1:在留資格の取得見込みの確認
海外にいる外国人エンジニアを雇用する場合
海外にいる外国人エンジニアを雇用する場合は、在留資格の取得見込みがあるかどうかを確認しましょう。
エンジニア職種で雇用する際に必要な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」もしくは「高度専門職1号(ロ)」のいずれかです。それぞれ取得要件があり、要件をクリアできるかを事前に確認する必要があります。
「技術・人文知識・国際業務」は予定している業務に一致する学歴や10年以上の業務経験が要件として挙げられています。高度専門職1号(ロ)の要件はポイント評価制を採用しています。学歴や職歴、年収などの項目ごとに基準が設けられており、基準をクリアしていればポイントが加算されそのポイント合計が70を越えれば取得できるようになっています。
国内にいる外国人エンジニアを雇用する場合
国内にいる外国人エンジニアを雇用するときは、在留カードの以下ポイントを確認しましょう。
- 在留資格の種類
- 在留期間の満了日
- 資格外活動の許可の有無
現在の在留資格で働くことができない場合は在留資格の変更手続きを実施する必要があります。
ステップ2:雇用契約書の作成と通知
予定している業務に就くことができる在留資格の取得見込みがある(海外在住の場合)、もしくはすでに取得済み(国内在住の場合)であれば、面接を実施し内定を出します。その後雇用契約書の作成と本人への通知に進みます。
雇用契約書の内容自体は基本的に日本人人材を雇い入れる場合と変わりませんが、外国人の母国語で書かれた雇用契約書の用意が必要です。雇用契約書における業務内容は就労ビザに該当した内容で記載し、その上で備考などに「在留資格が認められることで初めて本契約の効力が生まれる」といった旨の条項を記載することも検討が必要です。
ステップ3:就労ビザの申請
海外にいる外国人エンジニアを雇用する場合は、就労ビザの申請を行います。
【就労ビザ申請の流れ】
- 雇用する企業が出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書」の交付申請を実施
- 在留資格認定証明書を内定者に送付
- 内定者が在留資格認定証明書を持参の上、本国の在外公館でビザ申請を行う
必要資格をすでに持っている国内にいる外国人を雇うのであれば就労ビザの申請は不要です。
ステップ4:雇用後の手続き
無事就労ビザの審査が通れば晴れて就業開始となりますが、最後にハローワークへの届出が必要になります。
雇用保険に加入する場合は雇用保険の資格取得届をハローワークに提出しましょう。 雇用保険に加入しない場合であれば外国人雇用状況の届出を出します。
外国人エンジニアを雇用するにあたって必要な書類
ここまで外国人エンジニアを雇用する際の基本的な手続きステップを見てきました。 次に上で紹介した手続きに必要な書類をまとめてご紹介します。
入社前に必要な書類
まずは入社前に必要な書類を押さえていきましょう。
海外在住の外国人を雇用するケース
海外在住の外国人をこれから来日してもらい雇用する場合、先ほどお伝えした通り在留資格認定証明書の申請が必要になります。申請に必要なものは主に以下の通りです。
1.在留資格認定証明書申請にあたり会社が用意するもの
- 登記事項証明書
- 定款のコピー
- 決算書のコピー
- 雇用契約書のコピー
- 雇用理由書
- 会社パンフレット
2.在留資格認定証明書申請にあたり外国人が用意するもの
- 卒業証明書/職務経歴書
- パスポート
- 本人の写真
国内在住の外国人を雇用するが在留資格の変更が必要なケース
予定している業務内容と現在の在留資格が合わない場合は変更手続きが必要です。在留資格の変更手続きに必要な書類は以下になります。
1.在留資格の変更手続きにあたり会社が用意するもの
海外の外国人を雇用するケースと同様
2.在留資格の変更手続きにあたり外国人が用意するもの
- 在留カード
- パスポート
- 学歴/履歴書
- 卒業証明書
- 本人の写真
入社後に必要な書類
①雇用保険被保険者資格取得届
外国人を雇用した際も雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出する必要があります。
②外国人雇用状況届出書
雇用した外国人が雇用保険の被保険者にならない場合は雇用保険被保険者資格取得届の代わりに外国人雇用状況届出書をハローワークに提出します。
外国人エンジニアの募集および入社後の雇用管理
最後に、外国人エンジニアの募集および入社後の雇用管理において事業主に求められることを、厚生労働省が出している外国人雇用管理指針から抜粋してご紹介します。
外国人労働者の募集及び採用の適正化
業務内容や賃金、労働時間といった事項の明示はもちろんのこと、求人申し込みの際に国籍の条件を設けるなど、差別的扱いを行うことは禁止されています。
適正な労働条件の確保
国籍を理由とした賃金や労働時間の格差の防止、外国人が理解できるように母国語で記載された労働条件明示書の交付を行うよう努めることが求められています。
安全衛生の確保
外国人労働者が理解できるように安全衛生教育を実施することや、災害防止・避難などに必要になる日本語をしっかりと習得できるよう教育していくことが求められています。
労働・社会保険の適用等
日本人労働者と同じく被保険者該当する外国人労働者を雇用する場合は、制度の内容を理解できるように説明するとともに必要な手続きを行う必要があります。
適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
外国人労働者が適切な処遇の下で能力発揮が出来るように環境整備に努めることや、私生活を安心して営むための支援を行うことが求められています。
解雇等の予防及び再就職の援助
外国人労働者に対し安易な解雇や雇止めはできません。解雇等で離職し再就職を希望するときは、関連企業等へのあっせんや求人情報の提供など在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うことが求められています。
まとめ
外国人エンジニアを雇い入れるには
- 予定している業務に対応した在留資格が取得できそうか
- ビザ申請に1か月以上かかることを見越して採用計画を立てているか
- 雇用条件が正しく伝わっているのか
- ハローワークへの届出など雇用に伴い必要な手続きが漏れていないか
など、さまざまなことに注意しながら進めていく必要があります。
外国人エンジニアを自社で雇用するのは手続きが煩雑で大変そうと感じておられる方も多いのではないでしょうか。
とはいえ外国人エンジニアの活用は今後深刻化していく人材不足への有効な対策となります。
当社は外国人エンジニア活用を考えているものの、これらの煩雑さからなかなか自社での雇用に踏み切れないという企業様に、人材派遣の形で外国人エンジニアを活用するサービスを提供しています。煩雑な雇用手続きや雇用管理はすべて当社が行い、日本語教育を受けた外国人エンジニアをすぐに活用していただくことが可能です。
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